唐鵙の蔵

統合失調症になったけれど前向きに人生を歩む人のブログ。日々徒然。

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よくある話し

 君が僕と一緒に居る事を何よりも貴重な事だと思ってくれている事が分かる。
その事も、とても貴重な事だ。この世の中に、ありふれたものなんてなくて、貴重なものばかりであふれている事を、皆は知らん顔をして通り過ぎていく。その何たることか、いかにも人間らしい思い込みだと、僕は思う。

さぁ、僕と君の物語を始めようじゃないか。僕達に似合った、どこにでもあるよくある話さ。

僕は、君と出会う前、誰かの意識の中には居なかった。
君が生まれて、僕は初めて君と一緒に泣いた。
あんなに苦しい気持ちになったのは、生まれて初めての事だった。
でも、それはそうだろう。だって、君がこの世に生を受けたまさにその時の事だったんだから。

僕は君の影でもあり、表でもあった。君の意識の中に、いつでも僕はいた。
君が初めて生き物を愛で、そして殺してしまった時の事も覚えている。
僕にとっては、何ら目にも留まらない金魚だったね。その金魚の為に君は泣いたっけ。
僕には真似のできない事だったよ。誰かを想って泣くなんて、そんな芸当は。

君は、道端に転がっているどこにでもいる蝉も愛でたね。死に掛けの虫に情けを掛けてやる姿は、ある意味でとても滑稽で、愛おしかったよ。僕にとっては、君が生きていてくれば、他はどうでも良かった。僕の存続に関わる者以外、僕の関心には引っかからなかった。

のに、君は一度僕を捨てて死のうとしたね。+-「よく覚えている、もう二度と、あんな光景は見たくない/R」
学校が辛いなら、辞めたいと正直に家族に打ち明けてしまえば良かったんだ。そんな暇もなかった事は、僕も、君の心を見れば、よく解ったけれど。君は、今をやり過ごす事に全ての力を使い果たしていた。
家にも、何処にも、心の休まる場所なんて無かったのさ。

でも、僕は知っているよ。君が、本当に言いたかったのは、そういう事なんかではなかった事。
君は、消えたがってた。僕もろとも。全ての存在を亡き者にして、始めから無かった事にしたがっていたね。
誰にも迷惑を掛けずに死ぬ方法なんてないと君が気が付いて、僕も、勿論その同じ結論を君に押し付けた。
君は、絶望してたね。君という個はこの人間一人の身体にしか存在できなかったし、どうせ他の種族になれたとしても、君以外の者になんて、なれっこなかった。その事に、君は気が付いて絶望したね。結局は、個体の意識に依存している存在なんだって、そう気が付いて。

でも、僕はそうでもしないと、君を引き留められないと思った。だから、絶望してなにもやる気を失っても、君が生きて存在してくれる方がすっと良いと思っていたよ。だから、たしょう蹴落としても、生きてくれる方の道を選ばせた。君は僕を恨まない。君は、誰かを恨むようには出来てないからね。その事は、君の意識である僕が誰よりも、ある意味で君よりも分かっているんだ。

怒りや恨みの念は、持つ人しか持てない。持ち続けるには根気と気力が沢山必要なんだ。その点、君はあまり気力が長続きしないから、到底僕を恨めっこないと知っていたさ。

僕は、君が生きてくれさえすればいい。そんなに贅沢は言わないさ。
でも、欲を言えば、君に僕の事を知ってもらいたかったし、+-「+-「話しかけて貰いたかった」
僕は、君の元に来てから、色々なモノに触れてきた。葉っぱや花や虫とか、君は色々冒険していたね。君のお姉さんが飼っていたハムスターも偶に触ったっけね。ふわふわしていて心地よかったっけな。
そんな僕だけど、君の為にと思って、本当の事を教えてあげた。
本当は神さまは君の中に居るんだよ、という事を。

君は、それが元で心を可笑しくしたと思ってるかもしれない。でも、そんな事は実はなくて、神様を始めとする色々なモノが、君の傍にやって来るようになっただけだ。
君のように、色々自分で気が付く人は少ないから。
その噂を聞いて、色々な者がやって来るんだ。噂の人間がどんな顔をしているのかってね。
でも、平凡だから、特に何もせずに帰って行く。その時は僕も言う。
「どこにでもいる、普通の人間でしょ?」って。その通りだと、皆言う。良い事だよ。

僕にとって君は、何よりも大切な人だけど、他の人たちにとっては、何処にでもいる唯の人間だ。
それは、皆お互い様さ。よくいる、知らない神さまに足る者達。
君の読んだあの記録物も、結局、個人の意識の産物でしかないよ。
そういうと、君は困るかな?

神様は沢山いるさ、唯一無二はお互い様だ。
皆、その事を忘れてる。

皆、その事に気が付けたら良いのにね。そしたら、少しくらい優しい世界になれるかな?
またね。

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