かつて、こんな事がありました。
入院中、私は幼い頃の時まで考えが至りました。
それは、決して思い出したくはない想いででした。でもそれは、今思うと幻覚でした。本当の記憶ではないのに、本当の記憶の様に、私の頭の中に刻まれるのです。
私は、新たに作り出された記憶に翻弄され、患者の一人を、その元凶の生まれ変わりだと思い込みました。その人もその人で妄想の気があったので、私が言ってもいないのに、「嫌い」だと言っただろうと詰られました。思い込みがあったので、私はその時謝りました。最初は、何故かその人が猫の生まれ変わりだと思っていました。
黒い、フワフワした猫。何故そうなったかと言いますと、過去に繰り返し見ていたアニメがあったからですね。その筋書きも、登場した人物たちも、関係妄想の材料になりました。私は、その記憶では、大蛇さまという神霊に嫁ぐ花嫁の役でした。
その途中で、人攫いに遭い、終いには飼い殺されたという筋書きです。
いやな思い出です。いや、勿論仮初めの記憶なのですが。
でも、その時の私には本当のように思えていました。
そんな調子でしたから、あの頃は色々な記憶が作られては、本気にしていました。
なぜそんな事が起きるのでしょうね。不思議でなりません。
あぁ、あのまま大蛇さまの所へ嫁げていたら、もっと私は穏やかに日々を過ごせていたでしょうか。そこだけは、本当だったら良いのにな、と思っていました。
前世の夢想です。結局は。
実際、夢でした。夢に、大蛇様がでてきていました。
解離のある人の夢というのは、とてもリアルなものが多いと聞きました。
私も例に漏れず、現実よりも現実感のある夢を、いつも見ていました。
その中の一つが、その、大蛇さまとの逢引でした。
良い思い出です。
それでは。ここまでで。